――男の子と女の子、それぞれの成長に合わせて
子どもが食事を通じて育つ。
それを「食育」と言うのだと、我が子の成長を見て改めて実感した。
息子と娘、どちらも同じ食卓で、同じごはんを食べているのに、成長の仕方や興味の持ち方が少しずつ違う。
そこに気づいたとき、「食育って一人ひとりに合わせて考えていいものなんだ」と思うようになった。
🍽 男の子と女の子、違いは“興味の入り口”にあった
我が家の場合、息子は食べることそのものに強い興味があった。
「これ、辛い?」「これ何の肉?」「うまい、もう一個!」と、まさに“食欲系男子”。
一方、娘はどちらかというと**「食卓の雰囲気」や「色彩のきれいさ」などの感性寄り**。
「このおにぎりかわいい」「お皿の色、昨日と違うね」と、観察力の方向がまるで違った。
食育は、五感を通じた体験だけれど、その「どこに反応するか」は子どもの性格や性別で異なるということ。
大人がそれを理解してアプローチを変えると、食卓の時間がぐっと豊かになった。

🥢 箸の持ち方は「家庭の教育力」そのもの
そして、意外と奥が深いのが「箸の持ち方」。
小学校に上がる頃、ふとした拍子に息子の箸の握り方が**“拳で握る方式”**になっていた。
「そろそろちゃんと教えないと」と思いつつ、いざ直そうとすると本人は拒否反応。
一方、娘は「お兄ちゃんがやってるなら、私も!」と、練習もまじめに取り組んで、比較的早くきれいに持てるようになった。
ここで思ったのは、箸の持ち方=「見られても恥ずかしくない食べ方」は、ある意味で“社会性の第一歩”だということ。
将来、大人になったとき、誰かと食事をする場面でふと出てしまう“クセ”が、その人の印象を左右する。
🎯 箸の練習法:「しつけ」よりも「遊び感覚」
怒って直そうとすると、子どもは余計に抵抗する。
だから、「遊びながら直す」のが一番効いた。
我が家で効果があったのはこんな方法:
- 豆運びゲーム:小さな豆やスポンジを箸でつかんで移す
- おやつを箸で食べるルール:好きなお菓子も練習道具に
- 親子で競争:「どっちが多く運べるか」で兄妹対決
本人が「できた!」と感じた瞬間があれば、それは一生の技術になる。
🧬 遺伝と食育は、別物。
箸の持ち方ひとつとっても、「親が下手だから子どもも…」とあきらめる人がいるけれど、
それは違うと感じている。
食べ方やマナーは遺伝ではなく“家庭の風景”として染み込んでいくもの。
たとえば、箸だけでなく「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶、
お皿を片づける習慣、食べ残さないことなど、
すべてが「見る→真似する→自分のものになる」の流れ。
親が苦手でも、「一緒に練習するよ」と言えば、子どもにとっては“自分ごと”になる。

🌱 食卓は、いちばん身近な教育の場
高価な食材や手の込んだ料理でなくていい。
大事なのは、「誰かと一緒にごはんを食べる」「会話がある」「毎日続いていること」。
箸をきちんと持てることも大切だけれど、
「食べることが楽しい」「食卓に安心感がある」ことのほうが、ずっと土台になる。
その土台があってこそ、子どもは自然とマナーも覚え、
誰とでもちゃんとごはんが食べられる“食の自立”につながっていくのだと思う。
✍️ まとめ:「箸の持ち方ひとつ」で、見えるものがある
箸をきれいに持てる。
それだけで、きちんと育った感じがにじみ出る。
でもそれは、何よりもまず「丁寧に見守られてきた」という背景があってこそ。
男の子も女の子も、食への関心の持ち方は違うけれど、
“大人になって恥ずかしくない食べ方”は、日々の食卓で少しずつ育てられていく。
今日の夕食、ほんの5分だけでも、
「箸の持ち方、ちょっと見てみようか」と声をかけてみる。
そんな小さなアクションが、きっと未来につながる。
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